
離れて暮らす高齢の母親の一人暮らし。頭も体も弱ってきて心配
離れているからこそ、心配な親の一人暮らし。住み替える際の本人状況に合わせて、最善策を考えましょう。
離れて暮らす母の一人暮らしが心配
都内で一人暮らしをしている鈴木陽子さん(54歳)の心配事は、離れて暮らす母親・幸恵さん(82歳)のこと。九州の実家にいる幸恵さんですが、80歳を過ぎているということもあり、最近は足腰も弱りがちで、物忘れも見られるようになってきました。そんな状態での一人暮らしに対しては陽子さんも心配なのですが、たびたび実家に帰るわけにもいかず、周囲の親戚にも面倒はかけられません。
そこで陽子さんは、幸恵さんの施設への入居を考えているのですが、近隣に親戚や友だちのいる慣れ親しんだ実家の近くが良いか、何かあったらすぐに駆けつけられる陽子さんの住まいの近くに呼び寄せるのが良いのか、迷っているところです。
遠距離の介護施設のメリット
幸恵さんは足腰が弱く物忘れも見られますが、介護サービスを利用しながら、何とか一人暮らしを続けています。今の状況で入居を考えるのであれば、陽子さんが都内から九州へ遠距離を通う負担は減らせませんが、幸恵さんにとって環境変化の少ない、実家近くの介護型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居が良いのではないでしょうか。
その際には、通院対応なども含めて日常の生活全般を任せられる、重度対応まで可能な施設を選んでおくと、この先、もっと体が弱ったり認知症が進んでしまった場合などにも安心です。また、費用的にも実家近くのほうが、手厚いサービスの施設に比較的リーズナブルな費用で入居できるメリットがあります。
一方で、幸恵さんの介護が進行して屋内生活が中心となってからなら、地域的な環境変化の影響を受けにくいと考えられます。その場合は、陽子さんの近くに呼び寄せたほうが、自由に動けない幸恵さんにとっても、忙しい陽子さんにとっても、メリットが大きいでしょう。
都内の陽子さん宅の近くなら駆けつけやすいので、家族の関わりが必要な安価なホームや介護保険施設も選べて、費用を抑えることが可能となります。
ポイント
● 母(幸恵さん)と子ども(陽子さん)は離れて暮らしている
● 母は足腰が弱り、物忘れもあってひとり暮らしが心配
● 高齢者には、住み慣れた環境が変わることの影響も大きい
● 入居する際の本人状況によって、最善策が異なる
対応策
1.幸恵さんは、実家近くの要介護型の有料老人ホームやサ高住へ
2. 将来を考え、通院や重度対応まで可能な施設を選んでおく
3.介護が進行してからの入居であれば、陽子さんの近くに呼び寄せる
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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