
老人ホームの利用権方式など契約形態や支払い方法
民間タイプの老人ホーム・介護施設では、いくつかの契約方式や支払い方式があります。それぞれのメリットとデメリットを理解して、施設選びに臨みましょう。
老人ホームの契約に利用権方式
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、民間タイプの高齢者住宅の入居に当たっては、主に利用権方式と建物賃貸借方式の2つの契約形態があります。
利用権方式は、共同部や居室を利用する権利と生活支援などのサービスを受けることが一体となった契約です。この契約の利用権は入居者だけに付されたものであり、相続や譲渡はできません。多くの有料老人ホームが、利用権方式の契約を採用しています。
老人ホームの契約で建物賃貸借方式とは
老人ホームの契約形態で建物賃貸借方式は、契約した居室に住む権利のみで、サービスは基本的に含まれません。一般的な賃貸住宅と同じように、入居者が賃料を支払うことで、原則的に事業者都合で退去を強いられないなど、居住に関する権利(賃借権)が確保されます。またこの賃借権は、利用者が死亡しても、同居する配偶者や親族に相続されます。
なお、都道府県知事から認可を受けた住宅が採用できる「終身建物賃貸借」という方式の契約の場合は、利用者の死亡によって自動的に契約が終了します。サービス付き高齢者向け住宅の多くが、建物賃貸借方式での契約となっています。
老人ホームの支払い方法に3つの方式
老人ホームへの入居費用の支払い方法にも、いくつかの方式があります。全額前払い方式は、定められた償却期間の家賃分を、前払金や入居一時金として、一括して前払いするものです。老人ホームの月払い方式は、入居している期間の間、毎月家賃も含めた費用を払うものです。
前払いと月払いを組み合わせた形の支払い方法が、一部前払い・一部月払い方式です。家賃の一部を前払いにすることで、月々の支払額の負担を軽減できるというメリットがあります。前払いや月払い等、複数の支払プランを設定している場合は、自分の状況に合った支払い方が選べます。
老人ホームの前払金・入居一時金は、償却期間内の退去なら返還があります。入居時に支払った前払金や入居一時金は、償却期間中に退去する場合は、返還金の算式に基づき15~30%の初期償却分を差し引いて未償却分の費用が返還されます。
ただし有料老人ホームやサ高住に入居して短期間のうちに退去した場合は、「短期解約特例制度(クーリングオフ)」が適用されます。この制度は、入居後90日以内に施設との契約が解約された場合、前払いしていた入居一時金について、利用料の日割り分や原状回復費用を除き、初期償却をせずにすべて返還されるというものです。この制度は老人福祉法に定められているもので、施設側は必ずその義務を果たさねばなりません。
家賃分の支払い方のメリット・デメリット
■全額前払い方式
【メリット】
【デメリット】
■月払い方式
【メリット】
【デメリット】
■一部前払い・一部月払い方式
【メリット】
【デメリット】
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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