
介護療養型医療施設が廃止された理由とは
介護療養型医療施設は、介護保険3施設の中で最も医療が充実している施設でしたが、医療療養病床と介護療養病床で医療の必要度に大きな違いが見られなかったことなどの問題から2024年3月末に完全に廃止されました。
介護療養型医療施設は介護保険で入院できる病院
介護療養型医療施設は、病院や診療所に併設あるいは隣接するかたちで設けられた介護保険施設で、「介護保険で入院できる病院」と考えるとわかりやすいでしょう。長期間にわたる、医療依存度の高い療養生活を必要とする高齢者に対し、介護保険でも入院生活が送れるようにとして位置づけられた施設であり、介護療養病床とも呼ばれます。一般的には医療法人が運営し、病院に併設されていることがほとんどです。
介護療養型医療施設は医療的なケアや介護、リハビリなどを提供
介護療養型医療施設の最大の特徴は、介護保険3施設の中でも、最も医療や看護が充実しているということです。居室について、最近ではユニット型個室のある施設もみられますが、多くの場合、従来型の多床室が中心となります。居室の広さは多床室の場合ひとり当たり6.4㎡以上、ユニット型個室の場合は10.64㎡以上となります。その他に食堂、談話室、機械浴室、診療室、洗濯室、健康管理室、共同トイレなどの設備があります。
提供されるサービスは、医師による診療をはじめ、医師や看護職員による医療的なケアや看護、専門の機能訓練指導員などによるリハビリテーション、介護職員による介護などです。このため、痰の吸引が必要な人や胃ろう、酸素吸入や人工呼吸器などを使っている人にとっては、24時間安心して暮らすことができる環境が整っています。
一方で、介護療養型医療施設でのサービスは、あくまでも療養を目的としたものですので、買い物の支援やレクリエーションといったサービスは、あまり提供されません。
介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止
介護療養型医療施設は、医療法と介護保険法に基づいた施設です。入所対象となるのは、原則65歳以上で「要介護1」以上の介護認定を受けており、日常的に医療行為が必要で長期にわたり療養が必要な人です。 介護療養型医療施設は、以前から廃止が決定されていました。これは、同じ療養病床でも医療保険が適用となる「医療療養病床」と機能が重複していること、入所者には医療の必要性の低い人が少なくないこと、自宅や他の施設での療養ができる状態なのに介護する人がいない・家族が引き取らないなどといった理由で入院している社会的入院がみられる、といった理由によるものです。また、介護保険の財政が大変ひっ迫していることも、廃止の理由のひとつといわれます。
しかし、廃止後の受け皿となる施設の整備や転換が思うように進まず、これまでも度々、廃止の期限が延長されてきましたが2024年3月末に完全に廃止となりました。
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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