新規オープンのメリットとデメリット

近年、全国でたくさんの高齢者施設が新規オープンしています。しかし新規施設にも既存の施設にも、それぞれにメリットとデメリットがあります。

新しい施設はすべて良い？

　高齢者施設を選ぶ際、住み替え先の施設が新規オープンなのか、既存のものであるのかは、関心の高いところでしょう。高齢者施設に限らず、住まいについて住み替える人の立場に立てば、中古の戸建て住宅やマンションよりも、新築のもののほうが好まれるのはいうまでもありません。しかし高齢者施設については、新規オープンであればすべてがより良いというわけではなく、メリットもデメリットもそれぞれあります。

すべてが一からのスタートとなる新規施設

　介護保険施設にしても、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、シニア向け分譲マンションにしても、新規オープンの施設の魅力は、「すべてが一からのスタートである」ことです。このため、建物や設備はすべて新しくてきれいですし、そこで働くスタッフも、新鮮な気持ちにあふれ、やる気に満ちていることでしょう。また、入居する人の立場で考えると、すべての人が新規の入居となりますので、人間関係を一から作ることができるという点も、大きなメリットです。
　一方で、こうした新規施設のデメリットは、上記のメリットの裏返しとなります。建物や設備が新しいということは、そこで働くスタッフたちからすると、使用や操作に不慣れということであり、施設運営に必要な情報の共有が十分になされていないこともあります。スタッフも新規に集められたチームである以上、想定外の出来事への対応力は、長年サービス提供をしている既存の施設に比べれば低くなることが否めません。また新規オープンの施設では、その施設での生活やサービスレベルが見えにくいという不安要素もあります。

サービス経験が豊富な既存の施設

　それでは、運営年数が長い高齢者施設にはどのようなメリットとデメリットがあるでしょうか？　こうした施設の場合、最大の魅力は「サービス経験が豊富である」ということです。運営年数が長い、つまり施設が古いほど熟練して業務に精通したスタッフが多いですし、それまでの多くの経験からさまざまなケースへの対応力も高いといえます。また、すでにその施設が多くの人の暮らしの場として長い時間を有していますので、入居者の顔や生活が見えやすいといえます。
　一方でデメリットは、建物や設備が古い、従来通りのサービスなどに固執しがち、入居している人たちの人間関係がすでに出来上がっているといった点が挙げられます。

新旧の高齢者施設のメリットとデメリット

■新しいホーム

【メリット】

• 新規の建物と設備なので、新しく清潔感がある
• 入居者同士の人間関係を一から作ることができる
• 職員もフレッシュでやる気に満ちている
• 運営者に新しいサービスなどへの意欲がある

【デメリット】

• 職員が施設や設備に十分慣れていない
• 入居者の生活や提供されるサービス内容が見えにくい
• 問題解決や緊急時対応に熟練していないことも

■既存のホーム

【メリット】

• 職員に熟練した人が多く、安心してサービスをまかせることができる
• 入居者の暮らしの様子をよく見ることができる
• 日々の問題解決や緊急時の対応力などが高い

【デメリット】

• 建物や設備などが古く最新ではない
• 入居者同士の人間関係が出来上がっており、排他的なことも
• サービスやイベントなどについて、職員の対応が保守的な場合もある