
病院が併設されているほうが安心?
高齢者施設には、病院や診療所などの医療機関と一体あるいは併設された施設もあります。それ以外の施設でも、訪問診療等の活用で医療の安心が得られます。
医療機関と一体化した介護療養型医療施設や介護医療院
高齢者施設の中には、病院や診療所など医療機関と一体化あるいは併設されたものがあります。施設と医療機関が一体化したものの代表が介護療養型医療施設や介護医療院です。これらの施設は医療法人が運営し、病院の敷地内などで、医療施設と一体化して設置されていることが多いものです。ですから、介護療養病床や介護医療院は、“住まい”というよりも、長期にわたって高齢者が療養する施設という位置づけです。
ケガや病気の際の受診のしやすさが最大のメリット
本来の意味での“住まい”としての施設である有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の中にも、医療法人が事業所であったり、病院や診療所が併設されていたり、同じ敷地内に医療機関があるというスタイルの施設があります。
入居者の立場から見ると、こうした医療機関を併設した高齢者向け施設の最大のメリットは、「ケガや病気になった場合に通院がしやすい」「かかりつけ医がそばにいるので安心できる」ということです。ただそばにあるというだけでなく、どのような対応ができるのかが重要ですから、協力体制についての確認が必要です。
併設している、あるいは協力契約をしている医療機関は、必ずそこを利用しなければならないというわけではありません。日本の医療はフリーアクセスですから、入居前に受診していた医療機関に入居後も通院を続けても問題はありません。ただし、施設内で緊急事態が発生した際に適切で迅速な医療対応を望むなら、協力医を受診しておいたほうが良いでしょう。
在宅医療を活用することを考える
住み替え先の施設が医療法人による運営であったり、病院や診療所を併設していなくても医療の安心がないというわけではありません。特別養護老人ホームには配置医師がおり、有料老人ホームは、必ず協力医療機関と協力契約を結んでいます。それ以外の施設でも、医療機関としっかりとした連携をとっているところは少なくありません。また近年は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることを支える、「地域包括ケア」という考え方が普及し、訪問診療などを行う医療機関も増えています。このため、運営法人の種類にこだわるよりも、その施設が医療について、どのようなサービスや連携体制、サポートをしてくれるのかを見極めることが大切です。
医療法人が運営する施設のメリット・デメリット
【メリット】
【デメリット】
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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