認知症の人が地域で穏やかに暮らすための施設
グループホームとは、その人が住み慣れた地域で暮らし続けるための、地域密着型の高齢者住宅です。認知症の人を対象に、規模の小さな落ち着いた環境の中で暮らすことができるもので、具体的にはひとつの共同生活住居(ユニット)に5~9人の認知症入居者が、介護スタッフの支援を受けながら暮らします。家庭的な環境によって、認知症状の進行を穏やかにしつつ、その人の能力の維持を図ることが、グループホームの大きな役割です。
介護職員による24時間365日の認知症ケアを提供
居室は原則として個室で広さは7.43㎡以上と定められており、5~9室の個室に対し、台所や食堂、浴室や洗面所、トイレなどは共同での使用となります。これを1ユニットとして、多くは1施設2ユニットまでと定められています。施設によっては、トイレや洗面所が個室に設置されているところもあります。
施設内では、入居者が穏やかな生活を送ると共に、その人の状態に合わせて介護職員による24時間365日の介護サービスが提供されます。介護体制は日中帯はユニットごとに3:1以上の職員配置が規定されており、手厚い見守り、介護が受けられます。一方でグループホームは、医師との連携や看護師の配置が必須ではなく、重度介護用の設備も義務付けられていません。ですから、介護度が高くなったり医療的支援が日常的に必要になった場合などは、退去を求められることもあります。
一方で、看護師を配置したり訪問看護ステーションと連携することで、入居者の健康管理や医療処置、緊急時の対応、さらには看取りなど、医療連携に力を入れているホームもみられます。
要支援2以上の認知症の人が入居対象
グループホームは、老人福祉法と介護保険法に基づいた住まいです。入居条件は、①65歳以上の高齢者で、要支援2以上の認定を受けている人、②医師から認知症の診断を受けた人、③施設と同じ市区町村に住民票がある人です。以上の3項目のほか、ホームによって身体状況に制限のあるケースもあります。
近年は、長寿化によって認知症高齢者の増加が著しく、重度の認知症まで対応できるグループホームは需要が高まっています。さらに、看護体制や医療支援の充実した施設が増えてきたことで、入居者の看取りまで行う施設も増えてきました。これにより、これまで以上に認知症の人が住み慣れた地域で最後まで暮らすことができるようになり、高齢化がさらに進む今後に向けて、いっそうの拡充が期待されています。