
家族、親族との話し合い
住み替えや介護施設などへの入所に当たっては、その後の生活も考えて、住み替える本人を取り巻く家族(子ども)や親族との情報共有が大切です。
夫婦での住み替えは、死別後のことも考慮する
高齢者施設への住み替えに際して、家族や親族とのコミュニケーションをどのようにとるのかは、その後の生活の質を左右する重要なポイントです。この場合、本人が住み替えを考えているのか、あるいは子どもが親の住み替えをすすめようとしているのか、2つのパターンに分けて考えてみましょう。
自分自身が高齢者施設への住み替えを考えているケースでは、配偶者がいる場合は、まずは夫婦でしっかりと話し合い、お互いに納得できる住まいを選ぶことが基本です。その上で、いずれは夫や妻のどちらか一方が他界することを想定し、「その後は(住まいも含めて)どのように暮らしていくのか?」を、視野に入れておかなければなりません。
独断での住み替えはトラブルの元
本人が住み替えを考えている場合、特に自己資金だけでの住み替えをするケースでは、「自分(または夫婦)の資産と収入で住み替えをするのだから、子どもたちの意見は聞く必要はない」と考える人もいます。
しかし、老後の生活では、いつ子どもたちの手助けが必要になるかわかりません。また、この先、自分自身での財産管理が難しくなり、月額費用の支払いなどでトラブルが起きるかもしれません。こうしたときに、まず頼りになるのが家族です。だからこそ住み替えに際しては、子どもたちに「なぜ住み替えをしようと思うのか」「どのような暮らしを望んでいるのか」「住み替え後、どのような支援を家族(子ども)に期待しているのか」などについて、しっかりと相談し、住み替えを検討する早い時期から家族の意見を聞いておくことも重要です。
兄弟姉妹、関係の深い親族との情報共有も
子どもが親に住み替えをすすめる場合、特に子どもに兄弟がいる場合は、兄弟姉妹同士での情報共有、そして納得と合意が重要です。たとえば親が自宅から介護施設などへ入所する場合、本人の判断力が低下していることから、中心となって介護を担ってきた子どもが入所を決定するといったケースは少なくありません。しかし、介護の中心となってきた家族(子ども)が独断で施設入所を決定すると、それまであまり介護に関わってこなかった兄弟姉妹との間で意見が分かれてトラブルになるとというケースも見られます。
これは、住み替えをする本人と比較的関係の深い親族などについても同じことがいえます。親の施設入所や住み替え、介護などについて、その後の親族内でのトラブルを避けるためには、兄弟姉妹あるいは本人らと関係の深い親族との間では情報を共有し、気軽に話し合える関係を作っておくことが大切です。また、住み替えに際しては、親の財産状況を明確にしておくことも重要なポイントです。
住み替えに関して話し合う内容
● 配偶者とは、死別後の生活も含めて、お互いに納得できる条件や環境をよく話し合う
● ある程度、住み替えや施設入所へのイメージが固まってきたら、家族(子ども)には住み替えや施設入所の意向を早めに伝える
● 自己資金での住み替えや施設入所でも、家族の意見を聞いておく
● 親の住み替えや施設入所に関して、誰かが独断で決めるのではなく、兄弟姉妹、あるいは住み替える本人との関係の深い親族には、説明と合意を求めておく
● 住み替えるのが親の場合、その財産状況などは、家族間である程度、透明化しておく
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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