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高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて

施設の運営状態

住み替え先を“終の棲家”として安定的な生活を送るためには、施設の運営状態を事前にしっかりと確認し、倒産や退去のリスクを避ける必要があります。

事業者の倒産や施設からの退去などのリスクを防ぐ

 住み替え先の施設を“終の棲家”と考えた場合、運営する事業者の財務状況や施設の運営状態は、入居検討時に必ず確認しておきたい重要なポイントです。万が一、経営状況の良くない事業者の運営する施設に入居した場合、運営事業者が変わってサービスの質が低下したり、最悪の場合は事業者の倒産によって、退去を求められることも考えられます。
このようなリスクを避けるためにも、住み替え先となる施設の運営状態、そして事業者や経営母体の財務状況の事前確認が必須なのです。

決算書を公開しているかをチェック

 施設の運営状態を確認するための基本的な資料となるのが、決算書です。決算書とは、一定期間の経営や財産の状態を示したもので、「財務諸表」や「計算書類」とも呼ばれます。施設への住み替えを検討する際には、パンフレットや重要事項説明書などと併せて、決算書も見せてもらえるよう請求しましょう。
 厚生労働省は、「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」で、「有料老人ホームの経営状況・将来見通しに関する入居者等の理解に資する観点から、事業収支計画についても閲覧に供するよう努めるとともに、貸借対照表等の財務諸表について、入居者等の求めがあればそれらの写しを交付するよう配慮すること」 としています。
 逆にいえば、財務諸表などの決算書を入居希望者に公開しない事業者は、その時点で情報公開に前向きでない事業者であり、住み替え先の候補としての優先順位を下げるべき対象であるといえるでしょう。

決算書では営業利益と自己資本率をみる

 貸借対照表や損益計算書などの財務諸表は、見慣れていないとわかりにくく、見方が難しいと感じるかもしれません。必ず確認しておくべき最低限のポイントは、以下の2点です。
1. 年度ごとの営業利益が低下していないか
2. 自己資本比率が極端に低くないか
これらについて、直近で大きな変化がないかを確認しておきましょう。自分でチェックするのが難しい場合は、会計や経理の専門家に見てもらうと良いでしょう。
 その他にも、入居率、前年度の退去者数と退去理由、前年度の職員の退職者数なども、施設の運営状態を示すものとなります。

施設の運営状態を示す情報

【決算書の確認】

  • 貸借対照表、損益計算書などの財務諸表を公開しているか?
  • 営業利益は減少していないか?
  • 自己資本比率が極端に低くないか?

【その他のデータの確認】

  • 入居率/施設オープンから数年経っているのに入居率が極端に低い場合、施設に何らかの問題があるかも
  • 退去者数/入院・死亡以外の退去者数が多い施設は、注意が必要
  • ス職員の離職率/職員の離職率が高い施設は、労働環境が良くないケースもあり、ひいては入居者に対するサービスの質が低い可能性も

出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社​