
入居者の状態が変わったときは?
ケガや病気による健康状態の変化のリスクは、常に身近な問題。そのような場合に、施設がどのように対応するのかを、事前に確認することが重要です。
施設がどのように対応するのかを事前に確認
住み替え先の高齢者施設を“終の棲家”とすれば、入居した後、年を経るごとに健康上のリスクが高まり、介護が必要になったり、あるいはすでに介護が必要な人であれば要介護度があがったり、認知症を発症したりするということも十分に考えられます。
このように、入居した人の状態が変わった場合、施設がどのように対応するのかについて、必ず事前に確認しておく必要があります。そうでないと、入居者本人は病気になってもそこに住むつもりでいたのに、状態が変わったことが原因で、施設から退去を求められてしまうといった可能性があるためです。
認知症の周辺症状や医療行為にどこまで対応できるか
入居してから認知症が進行し、部屋を間違えるなどの混乱や徘徊などの症状が出てきた途端、「ここでの生活は無理」と退去を迫られることもあります。建物の間取りやセキュリティ、見守り体制なども含めて、入居する前にそこでどんな症状まで暮らせるのかを確認しておきましょう。
条件が整えば施設で可能な吸引や経管栄養などの医療行為についても、看護体制や医療連携の状況から、どういった行為まで対応可能なのか具体的に聞いておく必要があります。
重要事項説明書の記載を元に、具体的な情報を集める
入居者の状態が変わった場合の施設側の対応については、重要事項説明書の「入居に当たっての留意事項」という項目にある「事業者からの契約解除」や「入院時の契約の取り扱い」、あるいは「要介護時における居室の住み替えに関する事項」といった項目で、事前に確認できることもあります。たとえば、要介護時における居室の住み替えに関する事項では、入居者の介護状態が進行した場合の、介護居室への移動について、判断基準や手続き、利用料金の変更や従前の居室との設備や仕様の変更、居室の権利の移動、提携ホームへの転居の有無などについても明示するようになっています。
なお、重要事項説明書のこれらの項目には、たとえば「より適切な介護等のため必要であるとホームが判断する場合に、事業者指定の医師の意見を聞くとともに、入居者本人又は身元引受人等の同意を得た上で、一定の観察期間を経たのち、居室を変更することがある」などと書かれているのが一般的です。これを読むと、「より適切な介護」や「一定の観察期間」など、内容表現がどうしてもあいまいです。その場合、これまでの事例を挙げてもらうなど、できるだけ具体的な情報を、施設から聞き出しておくと良いでしょう。
「看取り」までしてもらえるかも確認
住み替え先を“終の棲家”と考えると、その施設でいわゆる「看取り」をしてもらえるのかも、あらかじめ確認しておく必要があります。近年、介護保険制度の特定施設になっている介護付き有料老人ホームでは、入居者の看取りまで行う施設が増えています。しかし、病状が進んで死期が近くなると、医療機関へ入院し、そこで最後を迎えなければならない高齢者施設もあります。積極的な医療による延命治療を希望しないのなら、入居した施設で看取りまで対応できるかもしっかりと確認しておきましょう。
重要事項説明書にある入居者の状態変化に関連する項目
● 入居に当たっての留意事項
● 要介護時における居室の住み替えに関する事項
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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