
退去を求められたときは?
「終の棲家」と思って入居を決めても、予期せぬ事態によって施設から退去を求められるケースがあります。納得できる説明と転居のフォローを受けましょう。
退去勧告は、納得の上で転居することが大切
高齢者施設には、それぞれ施設ごとに“入居条件”が決められており、自分の状況と照らし合わせて施設を選ぶわけですが、入居後に“退去条件”に則して退去勧告を受けることがあります。介護度が進んだり、疾病が生じるなど、入居者の状態が変化すると、対応できなくなる施設もあります。どんな種類の施設でも入居契約が「終身利用」を確約するものではないと認識しておくことが大切です。
「入居契約書」「重要事項説明書」を確認
とはいえ、退去勧告が突然だと驚くのは無理もないですし、納得がいかない場合もあるでしょう。その際は、「入居契約書」「重要事項説明書」を確認します。ポイントは“退去要件”や“施設からの契約解除”に関する項目。このいずれかに、入居者の状態・行動などが該当していれば、退去勧告に従うことになります。
このとき、勧告に至るまでの施設側の努力など、詳しい経緯を説明してもらい、退去を前向きに考えられるようになることが大切です。どうしても納得できない場合、苦情申し立てなど行えますが、本人の生活に支障が出ることもありますので、次の入居先を見つけるほうが良いでしょう。
退去勧告には予告期間が設定されている
退去勧告は、賃貸住宅と同じく予告期間が設定されています。一般的には90日間で、退去の期日までに次の住まいを準備しなければなりません。転居先として新たな施設を探す際に、入居している施設から協力を得るのも良い方法です。期日までに次の施設が決まらない場合も、入居している施設に延期の相談をしてみましょう。継続入居の措置が難しい場合は、ショートステイなどを活用する方法もあります。また、可能な状況なら在宅介護に戻って介護保険を利用しながら、新しい施設を探すことも検討してみましょう。
退去勧告となる5つのケース
❶身体状況の変化
施設では対応できない医療行為が必要=医療依存度が高くなる、 認 知 症 の 進 行、要介護度が入居基準より軽くなるなど
❷一定期間以上の不在
病気やケガで長期入院が必要となる(期間は3カ月以上、6カ月以上など施設の規約による)
❸迷惑行為・問題行動
他の入居者や従業員への暴言・暴力、夜間の奇声、器物破損など
❹費用の滞納
月額料金・自己負担金が支払えない=再三の督促に応じず、保証人からの支払いもない
❺入居時の不正
診断書などの提出書類に虚偽の記載をしたことが発覚したなど
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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