
倒産した場合は?
近年、ニュースなどで老人福祉・介護事業の倒産が散見されます。入居している施設の運営会社が倒産した場合、運営継続の有無で、その後の影響が異なります。
施設選びの段階で運営会社の経営状況にも配慮を
社会の高齢化が進み、高齢者施設が増加してきた一方、倒産・廃業する事業者も確実に増えています。その一因には、十分な知識やノウハウを持たない異業種から、安易に新規参入する事業者が見受けられることが挙げられます。帝国データバンクの「倒産動向調査」によると、株式会社が最多であり、ほとんどが資本金500万円未満、負債額1億円未満。その大半が、当初の計画通りに利用者が集められない「営業不振」が原因で、全体の9割以上が「破産」しています。法人設立から倒産までの期間「業歴」をみると、7割が10年未満です。施設を選ぶ際は、運営会社が設立から10年を経過していることが安心のひとつの鍵といえるでしょう。
倒産は、月々の費用負担や入居生活の変化に影響
施設の事業者が倒産すると、別の事業者に運営が引き継がれ、退去は免れるケースがほとんどです。ただし、契約内容や利用料など新しい事業者の規定が適用されるため、サービスの質や毎月の費用が変わる可能性があります。また、スタッフが入れ替わるなど、生活面での変化が入居者のストレスになることもあり、退去者が増えることも考えられます。
入居一時金の保全措置の確認が重要
施設を引き継ぐ運営会社がない場合は廃業となり、入居者は自ら新たな施設を探すことになります。倒産で退去となる場合に備え、入居一時金や前払い家賃を支払うすべての有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅には「入居一時金の保全措置」が義務付けられています。前払金の未償却分が返還されないとき、事業者に代わって銀行や損害保険会社、(公社)有料老人ホーム協会などが支払う(上限500万円)制度です。
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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