
目的を明確にして優先順位を決める
施設を選ぶ際には、どのような目的で、何を求めて住み替えをするのかを明確にしておきます。その上で、要望や条件の優先順位を決めましょう。
目的や要望に合わない施設での暮らしを避けるために
施設選びで重要なのが、住み替えの目的を明確にして要望・条件の優先順位を決めることです。高齢者施設には、それぞれ提供するサービスや機能、設備にも違いがあります。それが住む人の目的や要望と合致しないと、単に暮らしにくいだけではなく、生活の質の低下にもつながってしまう可能性があります。生活の質の低下は、ひいては健康状態の悪化にもつながります。また介護や医療面での機能が入居する人が求めているものより低い場合、介護度や病状が悪くなってしまうことにもなりかねません。
不安や困りごとの解消に必要なことを考える
住み替えの目的を明確にするには、まず今の住まいや暮らしを見つめなおし、今抱えている不安や困りごとの解消に、何が必要かを考えてみましょう。たとえば、「今は問題ないけれど、この先足腰が弱って家事がつらくなったらどうするべきか?」「病気や介護が必要になっても、頼れる人がそばにいない」「ひとり暮らしで話し相手がおらず、さみしい」など、今感じている不安や心配ごと、近い将来顕在化しそうな問題について、一つひとつ具体的に挙げ、それらの不安や困りごとの解消に必要な住まいの設備や環境、サービスや支援について考えます。
さらに、これからも自分らしく楽しく暮らすために、今後送りたい生活(ライフデザイン)について、できるだけ具体的に考えましょう。その上で、「送りたい生活=要望」と「それをかなえるために必要なこと=条件」を導き出し、必ず適えたいことを上位に、できれば適えたいことを次に並べ、施設選びのための優先順位をつけていきましょう。
今の住まいや暮らしを見つめ直す
今抱えている不安や困りごとを見直し、困りごとの解消に必要な住まいの設備や環境、サービスや支援は何か? を考えてみましょう
【不安や困りごと】
「病気や介護が必要になっても、頼れる人がそばにいない」
「今は大丈夫だけど、この先足腰が弱ってきたらどうしよう?」
「介護が必要になっても、離れて暮らす子どもには頼りたくない」
「住み替えたいが、十分な資金がない」
「今の住まいでは、終の棲家とするには不安」
「この先も元気で暮らしたいが、健康をどのように保てばよいかわからない」
「ひとり暮らしで寂しい」
「最近、日常生活の動作に不安を感じるようになってきた」
「毎日の自炊がおっくう」
「持病を抱えながらの生活に不安がある」
「毎日退屈で、生活に充実感がない」
「寝たきりになってしまったらどうしよう」
「万が一認知症になっても、家族に迷惑をかけたくない」
要望と条件に優先順位をつける
【要望】自分が送りたい生活
【条件】要望を実現するための環境やサービス
出典:岡本弘子『高齢者施設の費用・選び方・手続きのすべて』ナツメ社
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